ダニエル書(16)

2023年4月30日
聖書箇所:ダニエル書8章1節~14節
説教題:雄羊と雄やぎの幻

おはようございます。2023年4月第5週目の主の日を迎えました。
またネット配信をご覧のあなたもおはようございます。お元気ですか?あなたが本庄教会の礼拝に参加してくださることをうれしく思います。今日は前回の続きでダニエル書8章1節~14節を読んでいただきました。それではご一緒に学んでまいりましょう。26節迄話します。
 
 ダニエル書は7章から12章迄の後半が預言書です。前回は7章からダニエルが見た幻を通して4つの強大な国が現れる事、そして4番目の国が今までの国と比べ特別に強くなりダニエルは恐れを覚えます。そして、この4番目の国は10本の角を持っており、

また別に1本の角(反キリスト)が出てきて他の3本(3つの地域連合国、又は3つの国)を滅ぼした。この1本の角(反キリスト)は神に逆らい、大言壮語し、いと高き国の聖徒(ユダヤ人)たちを悩まし、特別な力をもって世界を支配します。けれどもやがて彼は主によって完全に滅ぼされ、その国はいと高き国の聖徒たちに与えられるという内容でした。

7章はダニエル書全体や他の聖書箇所を読みながら見ていくと終末時代につながっていることがわかります。もう一本の角がポイントですね。なぜならそれこそ反キリストにつながるからです。やがて彼は最終的にほろぼされますがダニエルはこの意味を十分に理解できませんでした。
 
今日は8章に入りますが預言の続きで、あの一本の角が出てきます。ダニエルはどんな幻を見たのか。今度はベルシャツァル王の三年目の時に見た幻です。スサの城、ここは後のペルシャ帝国の中心地です。時はまだバビロン帝国時代ですが、見た夢はペルシャの城の中での幻です。

3~4:1匹の雄羊が元気よく西、北、南に突き進んでどんな獣も太刀打ちできなかった。
この解き明かしは20節を見るとこの国はメディヤとペルシャの王の事です。

5~8:次は1匹の雄やぎです。地に触れず(速さ)全土を飛び回って西からやってきた。この雄やぎは非常に高ぶり強くなった時、大きな角が折れた(死んだ)その代わりに4つの角が生え出た。21節の解き明かしではギリシャの王アレキサンダー大王です。彼は32歳で亡くなり、その後4つの国(マケドニヤ、小アジヤ、シリヤ、エジプト)に分割されます。

9~14:4本の角の中の1本が南と東と麗しい国(エルサレム)に向かって勢力を伸ばし、強大な力をもって支配します。特にエルサレム、神に対して高ぶり、高慢にふるまうが、やがて彼は人手に寄らず砕かれる(25)誰の事か?終末時代に登場する反キリストではなく、あの悪名高いシリヤの王アンテォコス・エピファネスです。
彼は紀元前160年代に亡くなります。旧約聖書に彼の名前は出てきませんが。聖書の中間時代の事が書かれているマカバヤ書に詳しく記録されています。中間時代とは旧約のマラキ書から新約のマタイの福音書迄の空白の400年を中間時代と言います。

例えば彼は何をしたか?エルサレム神殿で羊の捧げものを取り上げ、代わりに豚をささげる、とんでもない罪を神に対して犯した王です。さすがにここまでやる国や王はいませんでしたので彼はあの荒らすもの(13)と呼ばれました。
実はこのアンテォコス・エピファネスこそ反キリストの雛型です。終末に現れる反キリストのミニチュア版ですね(10~13)。でも2300の朝と夜(6年あまり)が過ぎると回復するとみ使いは示されました(13~14)。最終的に悪の働きは滅ぼされるのです。ここまでが幻です。

15~26:ダニエルは幻の意味を知りたいと願っていた時、神はみ使いガブリエルを送りました。そしてこの幻は終わりの憤りの時に起こる事だと(19)示してくれました。ダニエルの時代から300年以上後の事を神は啓示したのです。これからどういう時代になるか?二本の角をもつ雄羊はメディヤとペルシャの王、雄やぎはギリシャの王。角が折れて4本の角が生え出た。アレキサンダー大王が32歳で死後マケドニヤ、小アジヤ、シリヤ、エジプトの4つに分割される。(22)

やがてそのうちの1つ、横柄で策にたけた一人の王が立つ。これがシリヤの王アンテォコス・エピファネスです。彼はさんざん悪を行い、エルサレム神殿を偶像の神殿に作り替え豚をささげ、その血を聖所の中にまき散らしエルサレム神殿を偶像の宮に作り変えてしまったのです。

でも祭司のユダ・マカベヤ家の人々が彼と闘ってついに勝利し、紀元前164年に神殿を聖なるものに回復したのです(14)。これが新約聖書時代に宮清めの祭りとしてお祝いされた記録が(ヨハネ10:22・新約203頁)に出てきます。旧約と新約の間の中間時代の事件でした。アンテォコス・エピファネスは最終的に気が変になり死んでいったと言われています。(25)

この一連の事件は終末時代にもっとひどい形で反キリストによって行われるのです。シリヤの王アンテォコス・エピファネスは反キリストの雛型です。

その根拠が新約聖書のイエスの言葉。マタイ24:13~22(新約50頁)いつの事か?やがて終末時代に世界規模で大患難時代の7年が始まります。前半の3年半の厳しい迫害時代にあってもユダヤ人の中から14万4千人が起こされてキリストの世界宣教が始まります。(14)
次に7年間の後半(21)に人類がまだ経験していない、またこれからもないような大きな苦難が来るとイエス様は語られました。そのしるしが(15)ダニエルによって語られた、神殿を荒らす忌まわしいものが聖なるところ(神殿)に立っているのを見たら、読者はよく理解せよ。

またⅡテサロニケ2:4(415頁)にも詳しく書かれています。ここはキリストの再臨に関する流れの中で使徒パウロが述べている個所です。不法の者とは反キリストであり、彼は終末の時に現れやがて神殿の聖所に立ち自分を神と宣言します。主イエスが行っている事と同じでその根拠がダニエル書で8章や9章に書かれている内容です。ですからダニエル書は私たちが今をどう生きるか示してくれる大切な書です。

世界の完成に向かっている私たちは、今の終末時代をはっきり自覚して、自分にできる神の御心に沿った御業を喜んでなしてまいりましょう。その為にも今日、今週、ひと月、一年、そして自分の人生全体を見ながら歩んでまいりましょう。お祈りします。