マルコの福音書(36)

2022年12月13日

2017年6月11日
聖書箇所:マルコ7:24~30
宣教題:スロ・フェニキヤの女の信仰  

先週は神のみこころを捨て外面的に言い伝え(口伝律法)を守る事に縛られたパリサイ人や律法学者の姿を通して、キリスト教会にも現代の言い伝え(口伝律法)に縛られている面があるという事を見てきました。私達はもう一度聖書の言わんとする本質や原則をしっかり理解して学ぶ必要性を改めて覚えさせられました。そして自由で明るく元気でのびのびとしたキリスト教会になりたく願っています。更にキリストの命にあふれた教会として歩ませていただこうではありませんか。

さて今日は7:24からです。イエス様たちがガリラヤから北西の異邦人の地であるツロ地方に移動したときの話になります。ここは今のレバノン、レバノン杉で有名な地域です。旅行は25節によると休息する事が目的の様でした。しかしイエスの噂はこのツロ地方にも広がっていましたので隠れて休息する事が出来なかったのです。ここで何があったのか見てまいりましょう。まずは場面や流れを確認致しましょう。
場所の確認です。異邦人の地、ツロ地方、今のレバノンという国で地中海に面した土地です。良い港がありましたので非常に発展した地域でもあります。旧約聖書にこの地での出来事があります。覚えていますでしょうか。そうです。イエス様よりもずっと前のエリヤの時代に2人の女性が別々に出てきます。一人は信仰的な女性であるツァレファテのやもめ、もう一人は悪女イゼベルです。いずれも旧約聖書列王記第一に出てきますので関心のある方はお読みになって下さい。今日の聖書箇所の登場人物はイエス様、スロ・フェニキヤの生まれのギリシャ人女性、悪霊につかれて病気になっている娘です。勿論弟子たちも一緒にいます。

25、汚れた霊につかれた小さな娘を持つ女、母親がイエスの足元にひれ伏し悪霊を追いだし、病気を治してくれる様にとお願いに来たところから話は始まります。悪霊は目には見えません。悪魔の子分でたくさん存在しているのが悪霊です。悪霊は人について色々な悪さをします。この時は悪霊により何らかの病にかかっていました。
そうかといって今病気の人は全て悪霊につかれているということではありませんので安心してください。ここで一つ確認ですが、新生体験したキリスト者の内には聖霊が住んでいますので悪霊が取りつく事はありません。但し時には悪霊の惑わしを受ける事があります。これは誰にでも起こり得る事ですが、そのような時は祈りとみことば、聖霊によって悪霊の惑わしを退ける事が出来ます。それ故極端に恐れや不安を持つ必要はありません。但しあまりにも悪魔や悪霊に関して知らないというのも困りものです。

26、この人はスロ・フェニキヤ生まれのギリシャ人女性です。イエスに対して悪霊追い出しを願い続けました。どうして願い続けたか。それはすぐにイエス様が答えず長い時間沈黙していたのです。マタイ15:21~28を参照してみて下さい。

27、イエスは面白い言葉を使って女性の信仰を試しています。まず子供たちに満腹させなければなりません。子供とは:ここでの文脈でいうとユダヤ人という意味です。メシヤとしてのみわざを表す順番があって、第一にユダヤ人が最初だと言うのです。子供たちのパンという表現をし、それを取り上げて子犬に投げてやるのは良くないと言いました。
※この箇所を理解するにあたって犬についての当時の考え方をしる必要があります。ギリシャ人にとって犬という言葉は恥知らず、ずうずうしい女を意味しています。聖書の世界では番犬として利用する事が多くありました。また当時野生の犬が多く、群れを成して野山や市街地をうろつき捨てられた物や死体を食い漁っていました。これが当時の犬のイメージであり良いものではありません。ここから聖書では主に不潔な人、汚れた人を指して犬という表現が使われています。またユダヤ人たちは異邦人を犬と呼んで軽蔑していました。現代日本の犬に対するイメージとはかなり異なります。
これを前提にして、子犬という表現は野生の犬を飼いならした家畜犬の事を子犬と呼んでいます。ペット的な意味合いがあるようです。ですからイエス様がギリシャ人の女を子犬と呼んだのは差別や軽蔑しているのではありません。食卓の事を例えて神の御業がなされる順番を述べていると共に異邦人女性の信仰を試しているのです。

28、彼女の信仰による切り返しの素晴らしさがあります。主よその通りです。イエスをメシヤと認めているのです。そんな食卓の下の子犬(異邦人)でも子どもたち(ユダヤ人)のパン屑をいただきます。この言い方に女性の謙遜と共にメシヤであるイエスに対する確かな信仰があります。

29、そうまでいうのですか。家に帰りなさい。悪霊はあなたの娘から出て行きました。イエス様は女性がイエスを信頼する信仰を認めて下さったのです。順番を試したイエスの問いかけに見事に答えたのです。

30、女が家に帰るとその子は床に伏せっており、悪霊は出て行って病は癒されていた。イエス様は29節で離れたところから宣言しましたが、その通りになったのです。ここからイエスのメシヤとしての力を見る事が出来ます。どこからでも御業を現わす事が出来るお方です。

適用 女性のイエスに対する信仰から学ぶ
26:願い続ける 28:食卓の下の子犬でもこどもたちのパン屑をいただきます。29:イエスの答え、その言葉で十分です。今日の聖書箇所の特徴は女性のイエスに対する信頼の強さです。この信頼故にイエス様の力が示されています。ここは私達も大いに学ぶべき点であります。ユダヤ人とかギリシャ人に関係なくメシヤを信頼する者にイエスは恵みをもって十分に答えてくださいます。私達も日々の生活の中でいつもイエスに問いかけながら、またイエスに聞きながら神の恵みに生かされる信仰生活をしてさせていただきたいと願います。そうすればどんな事があっても揺らいで転がる事はありません。又揺らいでも倒れる事はありません。

結び
今週もイエス様の問いかけに信仰で切り返したこの女性の様にイエスに対する信仰を覚えつつ歩んでまいりましょう。