マルコの福音書(25)

2022年12月13日

2017年2月19日
聖書箇所:マルコ4:30~34
宣教題:神の国はからし種のようなもの 

今日もマルコの福音書4章から続けて学んでまいります。文脈を確認してまいりましょう。
前回は26~29節を学びましたが福音の種(聖書のみことば)には命があり人手によらず大きく成長することや成長して実を結ぶことを学びました。それゆえ結果は主に委ねそれぞれ自分に与えられた賜物、自分がどの器であるかを理解しそれぞれの使命、役割に生きようという内容でした。

4章以降イエスはたとえを多く用いて人々に話すようになります。それはイスラエルの指導者達が徹底的にイエスを否定したからです。即ちイエスの働きが聖霊による御業であるにも関わらず、イエスはベルゼブル、すなわち悪霊どもの頭である悪魔の働きによって、悪霊どもを追い出しているにすぎないと断言したのです。彼らのイエスに対する頑なな態度がはっきりする中で、このベルゼブル論争以降は人々に対して「たとえ」で話すようになります。それはただ聞くだけの人には霊的真理を隠し、理解できないようにするためであり、同時に真に聞く耳の有る者が霊的真理を理解できるようになる為だったのです。
この一連の話の中でイエスは神の国についてのたとえを話してくださいました。神の国は文脈によってその意味するところが違いますので明確にしていかないと意味がぼやけてしまいます。

ここでは神の国の奥義とあります。奥義とは旧約聖書には明らかにされなかったが、今明らかに示された神の国についての真理、これをイエス様は神の国の奥義と11節で述べています。ではここで述べている神の国とは何か、それは大まかな時代区分でいうとキリスト教会時代、又は全世界的キリスト教世界の事を幅広いスケールでイエスは弟子たちに教えて下さったのです。そして今、現代に生きる私たちはキリスト教会の歴史二千年の中で全世界的キリスト教世界、即ち神の国がどのようなものかを理解する事が出来ます。その視点で見ると30~32節のたとえ話は良くわかります。

30:ここでイエス様は2つ質問しています。その質問の中身は「神の国」というテーマで、神の国とは何にたとえられるか。どういうものにたとえて説明できるかという質問です。疑問文です。これがイエス様の手法です。決して一方的に教えている訳ではありません。弟子たちに考えるチャンスを与えているのです。彼らは様々な事を自分で考え発言した事でしょう。これが大切です。答えが違っていたらどうしようとかではなく、自分で考え、自分の言葉で話すことが大切なのです。本庄教会でも礼拝の時や聖書を学ぶ会で牧師が一方的に話す事はしていません。質問をして皆さんに応えてもらっています。これによって自由に考える習慣が身に着いてきます。結果として理解が深まります。

31:イエス様はキリスト教世界はからし種のようなものだと話されました。からし種とは黒コショウだと言われています。この種は非常に小さいです。調味料や油を搾る種として貴重品だったそうです。からし種問う言葉は小さいことを表す格言的表現だと言われています。地にまかれる種の中では最も小さい。奥義としての神の国は小さく取るに足りないものであった。キリストの弟子達も最初は12人だけで少数です。
32:蒔かれて、成長するとどんな野菜よりも大きくなる。大きな枝を張り、空の鳥が巣をつくるようになる。実際3~4メートルになるそうです。からし種は木ではないので野菜という言葉で訳されています。別の言葉でいうと灌木(小さい木)ハーブで、大きくなり、木の様に枝を張ります。イエスはキリスト教世界が小さく始まりから、やがて大きくなり、またこれからの時代も含めて大きくなることを先取りして教えてくれました。今までの時代を見てもこの通りであります。

但し鳥(多くの鳥、複数形)が巣をつくる程になるという言葉がポイントです。4・15節の流れで見ると鳥は悪魔、サタンの事であります。32節の理解はキリスト教会又はキリスト教世界が小さい所から始まり大きく成長するという解釈と、もう一つはキリスト教会又はキリスト教世界が小さい所から始まり大きくなると共に、サタン、悪魔、悪霊の影響を強く受け、様々な弱さを抱えて、特に本物の中に偽物が混じってくるという解釈があります。私は後者の解釈の立場です。確かにキリスト教会には途中からイエス様が語られたように様々な偽の教えが入り込んで惑わしが多くあります。
33~34:こうしてイエス様は群衆から真理を隠す為にたとえで話されました。しかし聞く耳の有る弟子達にはすべて解き明かしまでしてくださったのです。

適用 
1、分裂 傲慢
今キリスト教会は世界的に見て3つに分かれています。ローマカトリック教会 東方教会 プロテスタント教会。それぞれが我こそは正統と主張しますが、現実には良い所もあれば、間違った教えを含んでいます。更に極端な、聖書の文脈を無視した解釈をするものが現れ、キリスト教会の中から異端の教えをするグループが多く出ています。まさしくキリスト教世界は大きくなりました。しかし、悪魔、悪霊の影響を強く受け、自分こそメシヤであると宣言する人が沢山いる時代です。それを真に受けて信じる人も多くいるのです。

日本のプロテスタント教会(抗議)の中でも大きく分けると福音派、聖霊派、日本キリスト教協議会(NCC)の3つに分かれています。それぞれが確信をもって我こそは聖書的教会であるという誇りを持っています。そしてほかの団体と裁き合いしているのが現状です。今もこの繰り返しをしています。そして30人の教会ならば20人と10人に正義を主張して分裂したりします。だからキリスト教会の数は増えていますが、クリスチャンは減っています。それは新生して新しくキリスト者になる人よりも高齢化に伴い死亡する人が多いのでクリスチャン人口は少なくなっています。やがて5年、10年すると閉鎖・合併する教会は多くなります。悪魔、悪霊が巧妙に人をだまして、高慢にして分裂するように裏で糸を引いています。よくいう悪魔が、にやっと、しているのです。

この分裂の根っこにあるのは何でしょうか。人の心の内にある傲慢です。悪魔の性質そのものです。私たちは今日このキリスト教世界、イエス様が語られた言葉を心に刻み、神の国の奥義に生きる一員としてしての自覚を持ちつつキリストの心を心として歩んでまいりましょう。

結び
今こそ私たちは謙遜にされてキリストの体なる教会は常に一つだという大きな視点と自分も他の人もその体なる教会の一員であるという視点を持とう。既に2千年前に神の国の奥義を事前に教えて下さった、イエスの心を受け止め、聖書記者の言わんとすることを読み取れるよう背景を大切にしながら聖書を学び直しましょう。