マルコの福音書(4)

2022年12月13日

2016年7月10日
聖書箇所:マルコ1:12~15
宣教題:悔い改めて福音を信ぜよ  

マルコの福音書4回目学びになります。今日の箇所からイエス様の3年半の公生涯が始まりました。マルコの視点で簡潔に書き記されていますので一緒に考えてみましょう。そして私たちの人生に適用してみたいと思います。

前回はイエス様がバプテスマのヨハネからバプテスマを受けた記事を読みました。なぜ罪のないイエス様が悔い改めのバプテスマをヨハネから受けなければならないのかという疑問がわいてきます。でもすべて良いと思われることをすると言うイエスの答えに納得して彼はイエス様にバプテスマを授けました。そうしたら、「あなたは私の愛する子、わたしはあなたを喜ぶ」と天から声がありありました。こうしてイエスは公生涯をスタートしたのです。ポイントは2つ、サタンの誘惑と福音ということです。

○サタンの誘惑 12~13
さて公生涯をスタートしたイエス様は華々しく中心都市であるエルサレムで人々に向かって福音を伝えたのでしょうか。そうではありません。「あなたはわたしの愛する子」という宣言を受け神から承認された後、すぐに御霊はイエスを荒野に追いやられたと書かれています。御霊は聖霊なる神の事であり、その御霊がイエスをいきなり荒野に追いやるとはどんな意味があるのでしょうか。これはイエスが神の子である事を証明するための御霊の導きです。場所が重要ですね。荒野は岩がごつごつしており、水もなく作物も取れません。当然、人が住める所ではありません。しかしこの地は信仰者にとっては神の恵みに満ちた場所であるのです。何故か。静まって真の神と出会う場所、試練を受ける場所、そして悔い改めが出来る場所であるのです。このように荒野は一見すると良い所ではありませんが、人を成長させてくれる場所です。この為に御霊はイエスを荒野に追いやったのです。

更にこの荒野で何があったか。40日間サタンの誘惑を受けました。詳しい内容はマタイ福音書4章に書いてありますので参考にしてください。聖書では数に意味があります。40は試練とか訓練を意味しています。試練の中に神がご自身を現わし、御心を示して力を下さるのです。例えば、モーセは40日40夜、シナイ山で神と交わりをし、イスラエルの民は40年にわたって荒野を旅して多くの神の恵みを受けました。エリヤは試練の中にあって40日40夜歩いてホレブ山にたどり着きました。このように40という数字は神の恵みに繋がっている事が分かります。ところでサタンとはヘブル語のサタナスという言葉から来ており日本語で悪魔、訴えるという意味になります。

イエス様は荒野で悪魔の誘惑を退けられ、野の獣と共にいましたが、み使いたちが仕え続けていました。すべて主の守りの中にありました。

○福音を伝えるイエス 14~15
ここからがらりと状況は変わります。しばらく時が経過しています。後にバプテスマのヨハネが投獄されてしまいました。イエスの活動場所もユダヤからガリラヤ地方に変わります。ここはエルサレムと違って田舎でしたが実は商売人、外交官、軍隊が利用する道路、通商路が通っており多くの人々が行き来する地域でありました。ここでイエスは神の福音をのべて言います。「時が満ち、神の国は近くなった。悔い改めて福音を信じなさい」福音とは良い知らせという意味です。神の福音とありますから、神からの良い知らせのメッセージという事になります。
時は満ちた、いよいよ定められた期間は終わって、メシヤ・キリストが到来する時が来た。
神の国は近くに来た。これをマタイは天の御国と言う表現をしています。読者がユダヤ人なので神という言葉は使いません。でもマルコ福音書の読者は異邦人なので神の国は近くなったと書かれています。この神の国を当時のユダヤ人たちは長い間、多くの人が等しく待ち望んでいました。ユダヤ人たちはこれをメシヤ的王国と呼び、旧約聖書のいたるところで預言されている時代が来ると期待していたのです。参考までにⅡサムエル7:12~17、イザヤ11:1~9 24:23その他いたるところにあります。新約聖書で千年王国とよばれている時代を待ち望んでいたのです。

イエスの伝えた福音をもう一度簡潔に述べると次の通りです。
時は満ちメシヤ・キリストが到来した。だから考え方を変え、認識を変え、人生の方向転換をしなさい。これを悔い改めと言います。メシヤである私を信頼しなさい。それが良い知らせなのです。そうすれば預言者たちが預言してきた神の国(メシヤ的王国)は実現すると言いました。

しかし現実的には多くのユダヤ人はイエスを拒否したためまだこの神の国(メシヤ的王国)は成就していません。何故か?神の奥義として計画された2千年以上続く今の教会時代と呼ばれるこの時代が続いているからです。しかしやがてこの教会時代は終わりキリストがもう一度この世界に戻ってこられます。これをキリストの再臨と言います。その後に神の国は(メシヤ的王国とか千年王国)とよばれる形で実現するのです。ですから地上の神の国はイエスの後、2千年以上たってから実現するのです。実にユダヤ人が考えていた神の国とイエスが伝えた神の国には認識のズレがあったのです。

ではイエスの十字架以降私たちに示されている神の福音の中身は具体的にどのような内容でしょうか。Ⅰコリント15:1~5に書かれています。福音を信じたら救われる。中身は①イエスは私たちの罪の為に死なれたこと②葬られたこと③三日目によみがえり、今も生きておられることを信じたら救われます。これがキリストの福音です。信じるものは皆救われます。貴方は信じましたか。

適用
○あなたの荒野の経験は何ですか。
厳しい試練・訓練の時を人生の荒野と言います。今がその時かもしれません。実はその荒野は恵みに満ちているのです。故に信仰によって乗り越えると人は成長するのです。本庄教会も主の恵みと憐れみにより幾多の荒野を経験して今に至っているのです。

結び
福音そのものの中身はイエス様の公生涯の始まりと十字架刑の後ではやや違いがありますが、イエス・キリストそのものが福音、良い知らせである事に変わりはありません。いつも悔い改めながら、物事の見方の視点を変え、認識を変えて、主イエスのお考えになっている方向に向かって歩んでまいりましょう。そうするとあなたは一回り成長します。今週も主の恵みの中で歩んでまいりましょう。お祈りします。