ダニエル書(12)

2023年4月24日

2023年3月19日
聖書箇所:ダニエル書6章1節~10節
説教題:「妬まれたダニエル」 

皆さまおはようございます。2023年3月第3週目主の日を迎えました。
また、ネット配信を通して共に礼拝しているあなたもおはようございます。お元気でしたでしょうか?ネット越しでは有りますがお会いできてうれしく思います。今日も共に聖書から考えることが出来まして感謝します。それではダニエル書6章1節~10節から学んでまいりましょう。
 
まずダニエル書6章の背景を押さえておくとこの個所の理解が進みますので少し話します。ここではバビロン帝国が既に滅び、メディア人ダレイオス(5:31)が王になっています。ダレイオスとはエジプトのファラオと同じように個人名でなく、立場を表す呼び方で、王の中の王という意味のようです。彼はこの時62歳という高齢で王になっています。
いつ頃の話かと申しますと、日本では縄文時代と呼ばれた頃で紀元前539年。ダニエルがエルサレムから捕囚としてバビロンに連れてこられたのが紀元前605年なので既に66年経っています。そうすると10代で連れてこられたダニエルは80歳前後の年齢に達していたと思われます。彼は健康に恵まれ、再び歴史の表舞台に登場します。10代から80歳前後まで60年以上にわたり主の前に忠実に生きていることがわかります。国はバビロンからメド・ペルシャに変わっても彼の生き方、信仰の態度は何一つ変わっていません。
 
もう一つ、ダレイオスの時代になると国の在り方がバビロン帝国とは大きく変わりました。バビロン帝国ではネブカドネツォアル王が絶対権力を持つ独裁国家でした。でもメド・ペルシャでは法律が重んじられ法律が確定したら王であっても取り消すことが出来ない政治の在り方に変わってきました。又、王は他民族に対しても穏やかに接し、税金を納めれば平穏に暮らしができる体制へと変わっていきました。こうした背景があってユダヤの民も国に帰る道が開かれたのです。
そんなことを踏まえ1節から見てまいりましょう。

1:ダレイオスは120人の太守を配置して国を治める体制に変えました。
2:そして太守の上にダニエルを含む3人の大臣を置き、その上に王がいる仕組みです。こうすると王は帝国を纏めやすくなることになります。
3:注目すべきはここです。ダニエルは80歳前後という高齢にもかかわらず、忠実に主に従いとおしています。そしてほかの指導者よりも際立って秀でていた事です。その理由は彼のうちにすぐれた霊が宿っていた。聖霊に満たされていたのです。聖霊が彼のうちに強く働いて知恵と力と能力、そして何が主の御心かを教え導いていたのです。これは大きなことですね。私たちキリスト者も常に大きく外れることなく歩めるのは聖霊の守りと導きがある故であります。
彼は80年にわたり聖霊に導かれて異国の国で生きたのであります。

4:ここには人間の心のうちに住むいやらしさ、罪から出てくる妬みです。ダニエルはよそ者であり、しかも戦いに敗れて捕虜としてバビロンに連れてこられた人物です。当然生え抜きの地元の人たちにとって彼が偉くなるのは面白くありません。邪魔な存在ですね。しかも他の大臣たちがどこから攻めようとしても弱点がないので余計腹が立ったのです。
5:そこで彼らは合法的にダニエルを陥れることを考えます。ダニエルが神の前に誠実に生きているその信仰を突いてくるのです。
6~9:それは彼らに有利な法律を作ってダニエルを陥れる方法でした。7節にありますように
これから30日間、いかなる神であっても人であっても王様以外を礼拝する人は誰でも獅子の穴に投げ込まれる。明らかに大臣たちの罠です。その法律にサインするといくら王であっても取り消しや変更ができない仕組みになっていたので、彼らはそれを利用したのです。王はその法律に署名し、大臣たちが仕組んだ罠にはまりました。
彼らはこれで、目の上のたんこぶであるダニエルを排除できると思った事でしょう。
しかしそうは問屋が卸さないのを彼らは身に染みて知ることになります。ついに大臣たちの家族と自分の命を失う事になるのです(24節)。

10:一方この罠に対しダニエルはどんな行動をとったのか、王がその文書(特別法律)に署名したことを知って、彼の行動や態度は変わったでしょうか。そうではありません。彼は今までと同じように家に帰り、エルサレムに向かって日に三回神に感謝の祈りをささげていたのです。※私達はこの生き方がなかなかまねできません。相手が力で向かってくるときにどうしたら逃げられるかと思って慌てふためいたりします。でもダニエルはそんなことをせずいつもと同じように神に信頼し感謝の祈りをささげていたのです。神はこのような信仰者に豊かな導きと力を与えてくれるのです。今日はここまでですが、この後、獅子の穴に投げ込まれたダニエルは神の大きな力によって助かります。
適用
●小細工しない
ダニエルは彼らの悪事を知っていましたが自ら小細工することなく淡々と神に信頼し感謝の
祈りを捧げました。普段と変わらない生活です。これをバビロンに来てから60年以上も続けて
いたのです。私達も裏工作や小細工をせず、常に神に感謝し、神の御心だけを求めて生きるダニエ
ルのようなキリスト者でありたいと願います。
●妬みに対して
大臣たちの妬みは彼らに限ったことでなく、私達の内にも存在します。今私達はきよめの段階
であり成長途上にあります。時々間違いを犯し、失敗もします。人をねたむこともあります。
そういう時にどうすればよいのでしょうか。大切なのは人と比べず、自分の賜物や能力を受け止
め自分にできることを喜んでする。人は人、自分は自分。自分にしかできない使命がある。
そうすると人の目を気にする事なく妬みから解放され、神に喜ばれる方向へ道に邁進するサイクルが出来て来る。そんな風に生きられたらいいなと思います。自分に与えられた使命を確信にその生き方を貫く。妬まれても妬みで返すことなくダニエルはひたすら主を見上げていきました。

●聖霊の導きを大切にしよう
私達のうちに住み続けてくださる聖霊の声なき声を聴いて生きる。ダニエルが模範です。

結び
自分の道に生きるダニエルも80年の人生は悲しみと絶望から始まりました。でもその中にあっ
ても、逆境をはねのけ、淡々と主を信頼して生きることをやめず、いつも主に信頼し続けました。その結果、主の守りと祝福を体験することになります。私達も神に信頼しながら自分の賜物に沿って生きる。この辺が神の祝福を受けるポイントではないでしょうか。「人に従うより神に従うべきです。」私達もこの信仰の原則を貫いていければ幸いです。