マルコの福音書(20)

2022年12月13日

2016年11月27日
聖書箇所:マルコ3:13~19
宣教題:12弟子⑤ヤコブ・シモン・タダイ

今日はアドベント第1週になります。静かな思いで主イエスの生き方から学んでいきたいと思います。今日でマルコの福音書20回目になります。特にここしばらく弟子たちについて学んでいます。今迄ペテロ・アンデレ・ヤコブ・ヨハネ・ピリポ・バルトロマイ(別名ナタナエル)マタイ・トマスの8人について学んできました。今日はアルパヨの子ヤコブ、熱心党員のシモン、タダイ(ヤコブの子ユダ・あるいはヤコブの兄弟ユダ)の3人になります。皆さんで覚える為に弟子たちの名前を鉄道唱歌のメロディに合わせて歌ってみましょう。小さいお友達も一緒に歌いましょう。

①イエスの使徒たち12人、彼らは全員20代、一組4人で活動し、御国の福音伝えます。
②ペテロが最初の長(おさ)となり、弟アンデレそこに付き、ヤコブとヨハネの兄弟も、御国の為に仕えます。
③ピリポの組の者たちは、バルトロ、別名ナタナエル、マタイ、もとは取税人、トマス、あだ名がデドモ(双子)です。
④ヤコブの父はアルパヨで、シモンの前歴熱心党、別名タダイのユダがいて、裏切り者のユダ最後。

1、アルパヨの子ヤコブ マルコ3:18
この人はマタイ、マルコ、ルカの福音書、使徒の働き1:13に名前しか出てきません。何か話している記録は聖書に残っていません。このヤコブはゼベダイの子ヤコブや小ヤコブ(マルコ15:50)主イエスの弟やコブとも違います。ヤコブは何人も聖書に出てきますがいずれも違います。

これは推測ですが弟子たちが4人一組で活動してようですので、彼の名前はいずれも9番目に出ており第3グループのリーダーであると思われます。ヤコブは沢山の弟子の中からイエス様が夜を徹して祈り使徒に任ぜられた人でありますので、記録は少なく、目立つ人ではありませんが隠れたところで活躍していた人物だと思われます。
教会にもこのような人がいます。決して人前に出る事は望まないのだけれど、主にあって誠実に歩んでいる人、隠れたところで主に仕え、祈り、弱い人を助け、見舞い、寄り添って生きる人です。ヤコブのような人がいると教会は大いに祝福されます。全員がペテロの様に思ったらすぐに行動する人間だったらどうしますか。アルパヨの子ヤコブのような人物は教会や社会、家庭にとって貴重な人です。

2、熱心党員シモン
シモンというとペテロの同じ名前ですが全く違う人物です。熱心党員だというのが特徴です。この熱心党とは何かが分かるとシモンの人柄が浮かんできます。使徒6:33~36ペテロたちがキリストの復活を伝えたために、エルサレムの人は怒り狂って使徒たちを殺そうとしたときに、ガマリエルという律法学者が「皆さん落ち着いて」と言って語り掛けたのが34節以降の言葉「チュダがローマの支配に我慢しきれなくなって反乱を起こした。その時400人ほどの人たちがついて行ったが結局は殺され散らされてしまったでしょ。また紀元6年人口調査の時にガリラヤ人ユダがローマに反乱を起こしたが滅んでいったでしょ。この様に神から出ていないことは滅びる。しかし神から出た事は抑え切れない」と諭した2つの事件があります。この反ローマ抵抗運動の流れから熱心党が始まります。彼らはローマの支配を打ち破るために武力によって戦う革命家でありました。そうする事によって早くメシヤが来るのを待ち望んだのです。シモンも熱心党員ですから当然彼の性格は激しく強さというものがあります。熱い勇敢な人物像が浮かんできます。
しかし、彼は後にイエスと出会いによりイエスこそ本物のメシヤであると確信し過激な運動から手を引いてキリストの弟子になります。更には使徒に任ぜられて主に仕えていく事になります。

熱心党の結末を少し話します。彼らはイエスの死後紀元66年ローマに反抗して戦います。それがきっかけとなりエルサレムは徹底してローマに攻撃され、紀元70年にエルサレムにある神殿は破壊されました。そして熱心党を中心とするユダヤ人はあの有名なマサダの砦に立てこもり紀元73年に967人が集団自決します。こうしてユダヤ人はその後1900年にわたり離散の民、ディアスポラとなります。

3、別名タダイ(母の胸) マルコ3:18 本名ユダ(たたえる・感謝)
タダイはヤコブの子ユダ・あるいはヤコブの兄弟ユダ(ルカ6:16)として紹介されています。ヨハネ14:22で本名がユダですがイスカリオテでないユダが・・・と、あえてイスカリオテのユダと混同しないように書かれています。彼の発言はこの場面だけです。父の力があらわされるのは父に信頼する人だけというのがイエス約束の発言の趣旨です。これに対してタダイはいまだにメシヤがローマの支配から独立するために武器をもって戦い勝利するメシヤの姿しか頭にありませんので、イエスの発言に疑問を持ち何故あなたは自分の力をこの世の中に現わそうとしないのかと質問しています。ここから彼が熱心党的な考え残っている事が分かります。
しかし彼もまたイエスの死と復活の後大いに変えられました。一部の聖書学者はユダの手紙はこの弟子のタダイ、本名ユダが著者であると言い切るほどです。ヤコブの子ではなく兄弟ユダと解釈する方が自然だからです。私もタダイ、ユダこそがユダの手紙の著者ではないかと思わされています。

適用
○イエスの懐の深さから学ぶ
イエス様は多くの弟子の中から12使徒を選びました。体制派の取税人マタイ、反体制派の熱心党員シモン、疑い深いトマス、考えるより先に行動するペテロ、裏切り者の都会派ユダ、短気で性格が激しいヤコブとヨハネ、様々な性格の弟子たちです。右から左まで多様です。自分たちの周りも、自分を含めそれぞれ皆性格、考え方、習慣が違います。しかし私たちは違いを認めつつ教会は一つキリストの体であることを覚えて歩めたら幸いです。そこで大切なのは相手の良い点を認めて付き合う事、また本質的な事以外はいちいち裁かない習慣を持つことが良い人間関係のポイントです。

○アルパヨの子ヤコブから学ぶ事
目立たなくとも主の前に誠実に生きる。隠れたリーダーの資質です。どこでもこうありたい。

○熱心党員シモン、タダイ
イエスの死と復活の後、彼らは聖霊を受けあの過激な考え方は消え去り、使徒として変えられた歩みをしました。私達も聖霊に導かれつつ正確な柔らかな人へと変えられたいと願います。

暗唱聖句 結び
アドベントを迎えるにあたって、それぞれの個性がある弟子達ですが、イエス様を信じて救われ変えられていきます。私達もキリストに性格が似た者へと変えられて参りましょう。