どん底クリスマス 

2022年12月23日

2015年12月24日
参照聖句:マタイ1:18~21(24)
説教題:どん底クリスマス 
クリスマスイブ礼拝

今年もキャンドルを灯して皆様と一緒に礼拝を捧げる事が出来感謝します。
今年はどのような話をしようかと思いめぐらしていたらキリスト教会関係の月刊誌「百万人の福音」の表紙に「どん底クリスマス‐暗闇に届いた光‐」と書かれたものがありました。マリヤの夫ヨセフの側から見たキリスト誕生にまつわる話が記されていました。今年はこの題がいいと思いこの題をつけました。

どん底という言葉を聞くとあまりいい思いはしません。それはこの言葉は「一番下の底、物事の最悪、最低の状態」を表す言葉だからです。
どん底という言葉から何を連想するかと言いますと日本の国で見ると今から70年前の敗戦ですね。軍部による無謀な戦争を仕掛けた結果、アジア諸国の罪無い多くの人たちを殺害し、また日本人も民間人を含め310万人の尊い命が失われました。家は火で焼かれ、食べ物はなくなり、国土は荒れ果ててしまいました。この時私たちの国はどん底状態でした。

一方個人レベルで見るといかがでしょう。今年を振り返って自分の人生はどん底だったと思う方はいますか。会社が倒産して無職になった。家族から見放されてしまった。住む家を失った。貯金が底をついて生活していけない。長期入院で体の回復の見込みがなくなった。どう生きていけば分からなくなった。様々な事があると思います。

これからの日本を考えると、昭和30年代のように希望に満ちた時代ではありません。経済力がある恵まれた環境にある人と、働いても、働いても一向に先が見えてこない人にはっきり分かれるような時代に進むのではないでしょうか。
しかし経済環境や家族環境に関わりなくどのような時代にあっても自分の生きる天職を持ち使命と役割を持って生きる人は幸いです。今日は私たちが真に自分らしく歩めるように聖書から手がかりをつかみましょう。

さてクリスマスと言う言葉を聞くだけで何かうれしい気持ちになるのは不思議です。このキャンドルのようにイエス・キリストの誕生は世界が暗くなっても光をもたらすものですから、クリスチャンでなくても気持ちが何となく盛り上がるのは当然の事です。

しかし、世界で初めのクリスマスにまつわる記録を読むと、どうもそうでもないようです。クリスマスはマリヤの側からの話が多く語られますが、もう一方のヨセフの側から見たクリスマスの物語は実は苦悩に満ちたどん底クリスマス、苦悩に満ちたクリスマスでもありました。
ヨセフの苦悩 18~19
マリヤは最初から聖霊によって身重になる事を知らされましたが、実はこの時ヨセフにはまだ知らされていませんでした。ヨセフにとってはあり得ないことでしたので苦悩が続きます。
マリヤはヨセフの妻と決まっていたが、二人はまだ一緒にならないうちにとは、どういう事か。
これは今でいう婚約とは違います。当時のユダヤ式結婚式の手順を申し上げますと、まず
1、双方の両親の合意がある
2、花嫁の父親に花婿側から花嫁料が払われる。これで正式な準結婚状態と認められる。但し同居は1年先になる。この1年間に花嫁は自分の両親に仕え、妊娠していない事によって花嫁の純潔が証明される。他の男と関係を持てば姦淫の罪を犯したことになり、結婚関係は破棄されます。法律的にはこの期間に二人は結婚関係にあるとみなされました。故に18節ヨセフの妻と決まっていたが、20節でまだ結婚式をしていないのに妻マリヤと言われています。
19
彼は正しい人であった:(創造主の前に誠実に生きていたという意味)
マリヤをさらしものにしたくなかったので:マリヤに起こったことが世間に知れれば生活共同体から追い出されて生きていけなくなります。(日本の村八分以上の事が起こる、村八分の場合は葬式と火事の場合は協力してもらえます)さらしものとは場合によっては石打ちの刑になって死罪になる事です。故にマリヤを内密にさらせようと決めたのです。これが世界で最初のクリスマスの出来事であり、ヨセフにとってはまさに訳のわからないどん底のクリスマスなのです。

20~21主の使いの声を聞くヨセフ
畏れないで妻マリヤを迎えよ。マリヤの胎に宿っているのは聖霊によるのです。即ち超自然の働きによるものです。名をイエスとつけよ。イエスとは主は救いという意味になります。そしてこの方こそご自分の民をその罪から救ってくださるお方です。これが人間の根本問題を解決してくださる救い主キリストの誕生です。天使の知らせを受けてヨセフは初めて自分とマリヤの上にとてつもなく大きな出来事が起こったのだと理解するようになります。

22~25 ヨセフの応答
彼は信仰の人でした。主の使いが命じられたようにその妻を迎え入れました。世間から後ろ指を指され、蔑まれることもあったでしょう。しかし誠実に創造主なる神の前に生きたヨセフでした。イエスが生まれるまで一切マリヤと性的関係を持つことをせず、誠実に堂々と生き抜いたのです。

適用
どん底状態から光が注がれる
クリスマスのメッセージはどのようなどん底状態であってもキリストを見上げる時に光を見出すのです。今日、あなたもこのキャンドルを見ながらイエス・キリストにこそ希望がある事を見出してください。キリストこそあなたの光となって生きる道を示してくださいます。具体的にはあなたに天職を示し、使命と役割を与えて生かして下してくださるお方です。

結び
インマヌエルの神。初めて聞く言葉かもしれません。意味は「神は私たちと共におられます」たとえどん底状態との時も、死の間際にある時も、インマヌエルの神が共にいて下さいます。今日いま是非救い主イエスをあなたの心に迎え下さい。お祈り致しましょう。